本郷メッセ-山梨県モノづくり企業展示・商談会-にご来場いただきありがとうございました

2023/02/20 (月)


メディカル・デバイス・コリドー推進センターは、令和5年2月14日(火)に東京・文京区の全国家電会館で山梨県ものづくり企業展示・商談会「本郷メッセ」を開催しました。

本メッセは、首都圏医療機器メーカーやディーラーに向けて山梨県内ものづくり企業の技術力をアピールするとともに、来場企業とのマッチングを通じて、県内企業の医療機器関連分野における取引拡大や新規参入の一助とするために実施したものです。

  文京区は医療機器関連会社が多く集積し、「医療産業のまち」とも言われています。このような立地で開催した本郷メッセには100人を超える来場者がありました。ここでは本郷メッセ当日の様子をレポートします。

 本郷メッセは、10時から展示会が開始。山梨県内のものづくり企業20社が出展しました。AI技術や、金属切削技術・旋削技術・板金による部品加工、カーボンの成型加工技術、ゴム加工技術、工場の自動化技術、OEM、医療機器用ハーネス、内視鏡用レンズ、創洗浄器、搬送用検体BOXなど、医療機器関連に必要な多様な技術や部品が展示されました。


 本郷メッセのオープンと同時に商談会もスタートしました。商談会は1面談30分で4ブースを用意していましたが、事前予約で満席になるほど盛況でした。来場者と出展社の商談のほか、山梨県からオンラインで参加している企業と来場者との商談の場としても活用されました。60件を超える商談が行われ、来場者から図面やサンプルが提示されるなど、具体的なビジネスへと進むような案件も数多くありました。

 会場内で開催した医療DX・UXデザインセミナーも席を急遽増設するほどの盛況となりました。基調講演では、国立循環器病研究センター名誉所員の妙中義之先生から「医療機器・ヘルスケアのイノベーションのための医工・産学官連携の最近の動向」と題しご講演をいただきました。
 妙中先生は国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)による支援について、出口戦略に向けた事業化コンサルティングがあり、医療現場のニーズの洗い出しと市場ニーズの有無をチェックしていることをポイントにあげました。「医工連携の際、こういったことができる?というところで試作を始めてしまうと失敗する可能性が高くなってしまう。ニーズと市場調査を行い、製品化までいくらかかるのかを確認して初めて試作品を作らないといけない」と指摘しました。実際にAMEDの医工連携イノベーション推進事業ではこれまでに198件が採択され、そのうち103製品が実際に製品化され世に出すことに成功しているとのことです。

 続いて公益財団法人医療機器センター認証事業部審査役の鈴木孝司先生より「目指すべき医療機器を医療機器基本計画から読み解く」と題しご講演をいただきました。
 鈴木先生は政府の医療機器基本計画とAMEDの医療機器・ヘルスケアプロジェクトの変遷を説明されながら、なぜ現在の支援のような形になっているのかについて説明いただきました。
 現在の第二次医療機器基本計画における、5つの重点分野「日常生活における健康無関心層の疾病予防、重症化予防に資する医療機器」「予後改善につながる診断の一層の早期化に資する医療機器」「臨床的なアウトカムの最大化に資する個別化医療に向けた診断と治療が一体化した医療機器」「高齢者等の身体機能の補完・向上に関する医療機器」「医療従事者の業務の効率化・負担軽減に資する医療機器」について解説をいただき、「近年の動向として、具体的な技術から課題解決型、シーズ型のものを支援するようになっている」など医療機器開発における政府の方向性をお話しいただきました。


 UXデザインについては、女子美術大学理事 副学長 研究所長の松本博子先生より「原点はUXデザイン~ユーザーエクスペリエンスを起点とした開発の重要性~」と題しご講演をいただきました。松本先生は「所有から体験、モノ訴求からコト訴求に変わってきている」とし、自身がデザインに参画されたマンモグラフィ検診車の事例を元に、UXの重要性について説明いただきました。調査で、マンモグラフィを受ける利用者は、検査への恐怖や緊張を感じていることが分かり、それをリラックスできるスペースに変えるようにUXデザインを変更したということです。色をピンク色にしたり、カーテンを照りのあるものに変更したり、見通しの良いデザインに変更したりしたことを具体的に説明いただきました。


 最後は、東京大学医学部附属病院消化器内科教授の藤代光弘先生に「消化器内視鏡分野におけるDXへの期待」と題しご講演をいただきました。
 内視鏡が日本で開発された経緯を説明しながら、新しい機材を世の中に届けていくために産学が連携していった歴史を解説いただきました。現在の内視鏡は、技術の進展だけでなく、大量の画像データの読影や、AIによるがんの識別などの状況を説明され「検査や治療の迅速化、最適化が進んでいる」と解説いただきました。これらにより、実際に胃がんでは、内視鏡による切除が外科的切除を上回っており、迅速化・最適化が進んでいるとのことです。

 そのほかトークセッションも行われ、妙中先生を座長に、一般社団法人日本の技術をいのちのために委員会の西謙一理事、山梨大学融合研究臨床応用推進センター 特任教授の野田智秀先生、山陽精工株式会社/株式会社オサチの矢口靖之様、Artibrains合同会社の北川智樹様にパネリストとして登壇いただき、デザイン志向や開発前のニーズ・市場調査の重要性などについて意見が交わされました。

 西様は「医療のニーズ、現場のニーズを知ることが大事。本音は一回行ったぐらいでは分からない。しっかりと現場に行くことで本当のニーズが分かってくる」とされ、それを受けて矢口様から「今までTech志向だったが、大阪デザインセンターで勉強をする機会があり、デザイン志向で考えるようになった。当社の製品ではプロトタイプを作成して、医療従事者へのインタビューをしながら製品化をしている」と自身の経験をお話しいただきました。

 野田先生にはプログラム医療機器(SaMD)について説明をいただきました。「アプリによる治療など新しい医療機器が出てきている。相談窓口の一元化や、審査のポイントや基準なども出ている。医療機器のなかでもプログラム専門の部署もできている」と政府の対応についてお話しいただきました。そのほか、治験の際の画像データの取り扱いや、アプリのバージョンアップがやりやすくなるIDATEN制度などにも言及しました。
 続いて北川様が自社のAI開発について「AI×なにかで価値を生み出す会社で、農業分野などでサービスを行っている。現在、X線診断補助システムを開発中」と説明され、開発中のシステムの状況や課題なども話をされました。これに対し、西様から「実際使用する人と一緒に開発した方が良い」とアドバイスがありました。

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