サポートネット 2月
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Information magazine that assists in small and medium-sized enterpriseSUPPORT NET4【研究の背景・目的】 近年、マイクロテクノロジーは、チップ形状の小型分析装置(マイクロ流体デバイス)の開発など、様々な分野への応用が期待されています。しかし、多くのマイクロ部品は大量生産が難しく、製造コストが高くなる問題があります。そのため、プレス加工によって微細な形状を転写する加工方法が、量産化技術として注目されていますが、実用化にはまだ多くの技術的課題が残されています。特に、分析用部品としてよく使用されるガラスは、硬くて脆い材料なので、プレス加工が困難です。そこで、本研究では、加熱しながらガラス板に微細な形状をプレス加工する実験を行い、各種加工条件とプレス加工状態との関係について検討を行いました。【得られた成果】 加工で使用するプレス金型も、表面に微細な凹凸形状を形成しなければならないため、通常の金型加工方法では製造コストが高くなります。そこで、本研究では、ニッケルメッキを積層させて、より簡便に凹凸形状を作製する方法を用いて、微細な複数穴(図1(a))と流路を模した形状(図1(b))のプレス金型を試作し、実験を行いました。 加熱してプレス加工を行うと、ガラス板がプレス金型に溶着する問題が発生しました。そこで、離型・潤滑剤として「窒化ホウ素粉末」をプレス金型表面に塗布したところ、図2に示すように、ガラス板が溶着することなく、きれいにはく離することが分かりました。 加工条件については、ガラス板とプレス金型の加熱温度が最も重要で、670℃以上に加熱することで、図3に示すような、直径及び溝幅が100μmレベルの微細な凹凸形状をプレス加工することができました。【成果の応用範囲】 本研究成果を利用することで、マイクロ流体デバイスだけではなく、燃料電池におけるセパレータの作製や、導光板・機能性フィルム等の微細加工など、マイクロテクノロジーにおける先端技術分野への応用が期待できます。シリーズ 役立つビジネスサポート【第24弾 公設試の技術紹介】【お問い合わせ先】担当名 高度技術開発部 小松(利)山梨県工業技術センター Tel:055(243)6111(代)  Mail:kougyo-koudo@pref.yamanashi.lg.jp山梨県工業技術センターの研究紹介(第11回)マイクロ金型による微細転写加工技術に関する研究〜ガラス板に微細な形状をプレス加工できるようになりました〜(b)微細流路形状(b)微細流路形状(b)微細流路形状(a)微細複数穴形状(a)微細複数穴形状(a)微細複数穴形状図1 実験用プレス金型図2 プレスし加工したガラス板図3 微細形状拡大図10mm5μm100μm10mm5mm5mm

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