サポートネット 8月
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Information magazine that assists in small and medium-sized enterpriseSUPPORT NET4【研究の背景・目的】 近年、国産ワインの人気が高まっており、より高品質なワイン製造のための、様々な技術的課題解決が求められています。我が国の赤ワイン製造では、微生物汚染防止や、オフフレーバー(異臭)発生防止法の確立が急務となっていました。 そこで、赤ワイン製造における、微生物学的な安定化およびオフフレーバーの発生防止法の確立を目的として、特にワイン製造業界で注視され始めた「フェノレ」と呼ばれる、フェノール系のオフフレーバーの発生防止を対策に取り組みました。【得られた成果】 まず、国産赤ワイン製品におけるフェノレの発生頻度を調べ、我が国の赤ワイン醸造において、一定の頻度でフェノレ汚染が生じていることを初めて明らかにしました。また、国産赤ワイン製造現場において、フェノレ発生の原因菌を本邦で初めて分離し、それら原因菌がブレタノミセス酵母(図1)であることを確認しました。 さらに、得られたブレタノミセス酵母の発生防止条件を調べた結果、亜硫酸管理とともにpH(酸度)管理が重要であることを明らかにしました(表1)。 以上のことにより、赤ワイン製品の高品質化に寄与できる知見が得られました。このことから,微生物学的な安定化が達成され,保存性が向上した赤ワインが製造できるようになりました。【成果の応用範囲】 本研究で得られた成果を元に、亜硫酸管理や酸度管理を行うことで、ブレタノミセス酵母の増殖を抑止し、高品質な赤ワイン製造を実現することができます。シリーズ 役立つビジネスサポート【第19弾 公設試の技術紹介】【お問い合わせ先】ワインセンター 恩田山梨県工業技術センターTel:0553(44)2224Mail:kougyo-wine@pref.yamanashi.lg.jp山梨県工業技術センターの研究紹介(第5回)赤ワイン貯蔵・熟成工程におけるオフフレーバーの発生防止に関する研究〜保存性が向上した赤ワインが製造できるようになりました〜図1 分離したブレタノミセス酵母表1 ブレタノミセス酵母の亜硫酸耐性pH(実測値)3.6(3.53)(3.60)(3.63)(3.61)(3.62)遊離亜硫酸(mg/l)011203241分子状亜硫酸(mg/l)00.220.370.620.78Brettanomycesの増殖+++±−−フェノレの検出+++−−−

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